韓国の危険な『火遊び外交』 中国は黙っていないはず

どこまで本気かわかりませんが、韓国が急速に中国から距離を置いています。切っ掛けは北朝鮮ミサイル発射における中国の対応でした。(「ホットライン がつながらない!」 中国の冷たい対応に焦る韓国

大手新聞社は一斉に中国を批判。それまでのらりくらりと引き伸ばしていたTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)の導入検討も始めてしまいます。

日本人は、「中国が北朝鮮に圧力を加えるなら、もうとっくの昔にやってるよ」と、冷めた反応が普通だったと思いますが、どうも韓国の方は違ったようです。

 

■中国の裏切りを叫ぶ韓国政府

「核問題:朴大統領、微温的な習主席に失望」

韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が、北朝鮮の核・ミサイル挑発に対する中国の習近平国家主席の態度に失望し、側近らに「これ以上(中国の役割に)期待するな」と語ったという。

北朝鮮による核実験の後、朴大統領と習主席が初めて電話会談を行ったのは今月5日のことだった。この過程で朴大統領は「憤怒」に近い失望感を見せたと伝えられている。関係者によると、中国側は両首脳の電話会談を、韓国時間の4日深夜12時にやろうと求めてきたという。北朝鮮による核実験の後、1カ月以上も経ってから電話会談をやろうと言い、しかも外交慣例上受け入れ難い時間を指定してきたのだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/02/13/2016021300554.html

確かに深夜12時の時間設定なんて、中国側の嫌がらせだと思います。逆に言えば、「お前はその程度なんだから、あまり調子に乗るなよ」という中国側の警告だったのでしょうが、これで韓国側は完全にブチ切れてしまいました。

そして電撃的にアメリカとの懸案事項になっていたTHAADの検討を発表。一気に中国傾斜から方針転換しました。

その後朴大統領は、北朝鮮のミサイル発射の直後、すぐさま中国が強く反対してきた「終末段階・高高度防空ミサイル(THAAD)」配備交渉の開始を決めた。

外交当局者は「『内外の反対を押し切って、中国の戦勝節記念式にも出席したのに、中国はこんなことをするのか』という朴大統領の恨めしさが、最近の決定にまとわりついているのは事実」と語っ た。

あの中国戦勝記念式への参加は、ホント何だったんでしょうね。中国にしてみれば、式典参加したくらいで図に乗るなっていう感じだったのかもしれませんが。

とにかく過去3年ほど続いてきた韓国の中国傾斜が、一応の区切りを付けたのは確かです。日本としては、やれやれと胸を撫で下ろす状況にようやくなりました。

と思いきや、今度は行き過ぎた韓国の暴走が始まったんですね。

 

■「外交圧力を中国に掛ける!」 始まった韓国の火遊び外交

「<朴大統領国会演説>米国と共助、韓日米3角協力、中露とは連帯構想」2016年02月17日

外交部の当局者は「中露との認識の違いは認めるが、協力レベルを下げるという意味ではない。むしろ韓日米が加速させた北への制裁局面にできるだけ参加すべきだという間接的な圧力」と述べた。

http://japanese.joins.com/article/113/212113.html?servcode=200§code=200

THAAD導入議論を公にし、日米韓協力を進めようという本来の姿に戻ったのではなく、これをネタにして中国に圧力を掛けようということらしいです。

実に危険な話です。中国に圧力を掛けて言うことを聞かすなんて、それは韓国程度の国がやって良い外交方針ではありません。しかも心の中に思ってて「協力しましょうね」とやるんじゃなく、彼ら「圧力だ」と公言してしまう。

こんなやり方で、本当に中国が韓国の思う通りの姿勢を見せるのか。彼らは中国がこんな『圧力』に屈すると本気で思っているのか。この程度でなんとかなる中国なら、日本も含めた周辺各国はこんな苦労はしていないと思うのですが。

 
■中国からの報復を全く予想しない韓国紙

「THAAD:韓国外交筋「中国の不満は韓国ではなく米国」朝鮮日報2016/02/17

外交消息筋は「THAADに対する中国の不満は、韓国ではなく米国に向かっている。韓中関係を犠牲にしてまでTHAAD問題にこだわらないという考えだ」と述べた。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/02/17/2016021701375.html

THAADの議論が始まって16日の朴演説まで、韓国の各紙の論調をつぶさに見てきましたが、懸念する「中国からの報復の危険性」について言及した報道は皆無でした。

それどころか、引用した朝鮮日報のように、全く逆の分析をしているのです。この記事のような分析は、本当に正しいのでしょうか?

韓国の輸出の25%以上を占める中国がその気になれば、いくらでも報復することができるでしょう。間接的影響ならば中韓スワップ凍結。直撃させたいなら、電子部品の輸入枠縮小。やろうと思えば、中国側は材料に事欠きません。

実際、スワップ凍結とかやられたらどうするんでしょうか? 日米韓同盟を叫んで、日韓スワップ再開を要求するんでしょうかね? 

日本としては日韓スワップの再開はやぶさかでは無いでしょうが、問題は韓国側が全く恩を感じないことでしょう。たとえ日韓スワップを再開しても、「日本が韓国とスワップ再開したのは、韓国が日本より偉くなったからだ」と不思議な解釈をして、上から目線で「感謝しろ」と言い出しかねないのが今の韓国です。

 

核武装論で大盛り上がりする韓国

「韓国与党で連日賑わいを見せる核武装論」

北朝鮮核兵器に対抗し、韓国も核兵器を持つべきだという「核武装論」が与野党に広まっている。与党セヌリ党の金正薫(キム・ジョンフン)政策委員会議長は16日、院内対策会議で「北朝鮮核兵器に備え、韓国は少なくともいつでも核を作れる程度の能力を持っていなければならない。そのためにはまず原発の核燃料を再処理する必要がある」と述べた。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/02/17/2016021701248.html

で、勢い余って核武装論まで行ってしまうのが「韓国クオリティ」なんですよね。

防衛用のTHAADですら、あんなに中国やロシアが拒否反応を示したのに、「戦術核の保有なんて、許されるわけない」とは思わないんでしょうか。もちろんアメリカだってそうです。まぁアメリカの場合、早々に裏から圧力を掛けそうですが。

そもそも韓国は核不拡散防止条約に加盟しているわけですから、こんな議論を与野党全部が大合唱する段階でおかしい話です。当然のことながら、核保有を宣言するなら、条約加盟から脱退する必要がありますし、そうなれば制裁を受けるのは確実です。韓国のような貿易国が制裁を受ければ、早晩破綻するわけで、どう考えても現実的ではありません。こうした甘い現状分析が、中国傾斜政策で失敗した理由なのではないのでしょうか。

「二股外交」から危険な「火遊び外交」に移行した韓国。日本も韓国の暴走に巻き込まれないよう、ますます細かい立ち位置の修正が必要になりそうです。