「WTOで日本は恥をかく」 韓国の期待が裏切られ阿鼻叫喚

ずーっと混乱が続いている韓国。「日本は韓国との協議を拒否し続けてる!」と大騒ぎです。しかしそもそも、日本が半年以上協議を求めてきた事実があるはずなのですが、そのことはスコーンと頭から抜けてしまって、「日本許すまじ」とヒートアップしている状況です。

 

■「世界は日本に怒ってる!」

ヒートアップを続ける韓国の中でも、特に大きなトピックスがWTOの一般理事会でありました。なぜなら韓国の報道では、「世界が日本に怒ってる」という認識だったからです。

 

「【コラム】安倍-韓半島の悪縁とトランプの平坦でない世界(2)」中央日報

当然、世界メディアも日本を非難している。「安倍首相の輸出規制はトランプ大統領を真似たものであり、グローバル貿易規則への挑戦」(ニューヨークタイムズ)、「安倍晋三の望みのない貿易戦争」(ブルームバーグ通信)、「日本の近視眼的な規制であり自害行為」(エコノミスト)、「自由貿易の恩恵を受けてきた日本の偽善」(ファイナンシャルタイムズ)、「日本の外交がトランプ化している」(ウォールストリートジャーナル)…。 

https://japanese.joins.com/article/919/255919.html

 こうした海外の反応を受けて、WTOでは「日本が世界に吊し上げを食う」と予想されていました。

 

WTO理事会控え、日本「輸出規制」に対する国際世論戦に拍車」ハンギョレ新聞(2019-07-24)

しかし、国際社会でも報復措置ではないという日本の主張を額面通り信じる人は多くない。ブルームバーグ通信は22日、

「しかし、今回の措置は日帝強制占領期に強制徴用労働者の被害に賠償せよという最近の韓国裁判所(最高裁)の判決に対する報復であることは明らかだ」と皮肉った。

http://japan.hani.co.kr/arti/international/33966.html

 この「WTOで日本が世界に吊し上げ」の世論をさらに助長させたのが、文大統領の強気の演説と、福島産水産物禁輸措置において活躍した対応チームの投入でしす。

 

文在寅大統領が日本に3度目の警告」(2019年7月16日)

文在寅大統領は15日、日本政府による半導体材料の輸出管理強化について「韓国の経済成長を妨げたことに等しい」とし、「結局、日本経済により大きな被害が及ぶことを警告する」と批判した。日本政府に「一方的な圧力をやめ、今からでも外交的な解決の場に戻ることを望む」と要求した。

https://news.livedoor.com/article/detail/16779782/

 凄い上から目線であります。措置を撤回してもらいたいなら、「警告する」とか言わない方がいいと思うんですけど、韓国にはこういう態度をオカシイと思う人はいません。「日本の間違った態度を正す」というスタンスが常にあり、日本からの「韓国は間違っている」という指摘には、脊髄反射で拒否する習慣が根付いているせいです。

文大統領のこの強気の姿勢は、WTOでの勝ちを見越したものだと話題になりました。さらにダメ押しが「ドリームチーム」の登場です。

 

WTO韓日戦…韓国「福島産水産物紛争」で逆転勝ちの主役が主軸」(2019年07月24日)

産業通商資源部は4月に日本の福島産水産物輸入禁止措置をめぐるWTO韓日戦で逆転勝ちした主役を主軸に対応チームを構成した。 
  彼らは23~24日にスイスのジュネーブで開かれるWTO一般理事会で国際世論を韓国側につけるための「説得戦」に入る。WTO韓日戦2次戦を戦うドリームチームの面々が関心を引く。

https://japanese.joins.com/article/867/255867.html

 福島産水産物輸入禁止をめぐるWTO大逆転は、韓国のプライドを大いに満足させました。その「ドリームチーム」がまたもWTOで活躍するわけです。韓国国民の期待値は天井知らずの状態でした。

韓国にも日本のワイドショーみたいな番組があって、専門家やコメンテイターが色々事件にコメントをつけるんですが、もう凄かったです。なにしろボルトン大統領補佐官が、WTOに参加することを題材に、「選挙も終わったし、そろそろ安倍はマトモになれ」ってWTOで言うに違いないとか、既に福島案件でWTOの信頼を勝ち取ったドリームチームが出ていけば、「よし、また日本の間違いを正そうじゃないかと一緒に立ち上がってくれる」といった、それこそドリームみたいな話を、番組に出てる人間が、決定事項のようにコメントしてるんですね。

そんな圧倒的勝利予想の中、WTOで日韓の演説がありました。

 

■予想外の結果に、またも阿鼻叫喚

WTOで日本・韓国が論戦 「日韓対立に巻き込まれたくない」との参加国も」

日本と韓国は24日に開かれた世界貿易機関WTO)の一般理事会で、半導体材料の対韓輸出規制についてそれぞれの立場を主張した。

日韓以外の複数国の代表はロイターに、複雑な歴史が絡む2国の対立に巻き込まれたくはないと述べた。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/07/wto-19.php

 韓国側の演説に拍手喝采、などという結果は出ませんでした。またボルトン大統領補佐官からも、この問題に関するコメントは全く無し。「アメリカは日本の暴走を許さない」という期待も、大きくハズレてしまいました。

 

WTOで強気の韓国“支持得た認識” 対立浮き彫り」

議長を通じて、日本側に局長級の協議を要請したが、日本側が理由も言わずに断ったと主張し、「日本が自らの措置に対して自信がなく、非協調的だと立証したかった」と話した。また、韓国メディアによると、日韓以外に発言した国がなかったことについて、「沈黙は韓国への支持とみなすか」との記者の質問に、「異議申し出はなかった」として、事実上支持を受けたとの認識を示している。

https://www.fnn.jp/posts/00421382CX/201907251207_CX_CX

異議は出なかったとして、事実上支持を受けたとみなすという苦しい結果になりました。

この結果について、現在韓国は、様々な意見が飛び出して、またも混乱状態です。見てて思うんですが、なんでこんなに極端なんでしょうね。「韓国が言えば、アメリカがすぐに日本を怒る」。「選挙が終わったら元に戻る」。「WTOで日本が負ける」。でも最終的に現実との乖離が判明して、混乱する。日本の輸出規制(の準備)が始まってから、この展開を延々繰り返してます。昔はもうちょっとマシだった気がするんですけど。

 

さて、日本も笑っていられる訳ではありません。上の記事にもあるとおり、WTOの場で「議長からも協議を開くよう言ってください」という韓国側の要望に応じて、議長が協議開催を日本側に提案しました。しかし日本は、テンプレどおりの言葉しか返していません。曰く「貿易とは関係のない問題であるため、WTOで議論するものではない」。

これは悪手だと思います。議長が仲介しているのです。韓国への回答と違う「協議を開かない理由」をちゃんと示して、韓国側の勝手な言い分を、論破する機会に変える必要がありました。韓国側が反論しようとしたら、「ここで議論はしない」とキッパリ拒否。あくまで議長に対する説明というスタンスを維持しつつ、日本の主張を世界に示していく形です。

「3年間、必要な意見交換をしてこなかったのは韓国だ。また、輸出における不適切事案もあった。日本としては、世界の安全保障のために正しい輸出管理を行っていることを示さなければならない」。

こういうふうに、しっかり主張することが、世界を相手にした世論戦というものなのです。

今回、外務省の山上信吾経済局長が出席したようですが、外務省のやり方はまだダメです。カンペを読むだけでなく、もっと臨機応変に対応できる柔軟さを発揮して欲しいですね。