狛江市長選 高橋候補を斬る

石井三雄市長の逃亡、逮捕から早16年。ついに矢野市長が勇退しました。
いや、強かったですね。圧倒的支持は、結局最後まで衰えることがありませんでした。後援団体の「豊かな狛江をつくる市民の会」は、現職の市議であった田辺氏を擁立しました。矢野市政継承が旗印ですから、まぁ特に取り上げません。問題は、対立候補のほうですね。
 
■みんなでつくる新しい狛江の公約は、実現可能なのか?
出勤時にちょうど高橋都彦(くにひこ)候補が駅頭演説していたのを聞いたんですが、「16年間を取り戻す」とか言ってるんですよね。4回も民意が矢野市長を選んできたことを何だと思っているんでしょうか? 全国紙の1面に載ってしまうような事件を繰り返さないためですし、猛烈な借金を作って土木工事を行った豊満市政への反省があったからです。しかも、この16年間に、ブラーライトを回した防犯車を配備したり、多摩川河川敷のバーベキューを禁止したり、様々な施策があったわけで、4月に初めて狛江に引っ越してきた人間に、軽々しく「16年間を取り戻す」などと言って欲しくありません。
 
あまりにカチンと来たので、この高橋氏の経歴を調べてみました。「行政のプロ」が看板なようですが、どの程度、政策立案に携わったことがあるのでしょう? 配っていたパンフレットによりますと、こんな感じです。

昭和50年 東京都清掃局
平成元年 総務局行政部 課長補佐
平成2年 中野区まちづくり課長
平成6年 港湾局副参事
平成10年 政策報道室 総合政策担当課長
平成13年 総務局参事(総務課長)
平成15年 (株)東京国際フォーラム 執行役員
平成17年 産業労働局 観光部長
平成18年 交通局総務部長
平成20年 東京しごと財団 理事長
平成22年 東京都公園協会理事長

平成22年6月に退職した後、そのまま天下って同年7月からしごと財団協会理事。理事報酬1000万円越えの噂は本当なんでしょうか?
見てわかるとおり、部長級ではありますが、外回りが非常に多いことがわかります。「政策のプロ」を駅頭でも叫んでいたのですが、せめて官房系で仕事をしていた人を連れてきて欲しかったですね。
経歴のうち数少ない官房系、1年しかやっていない平成元年の総務局行政部の仕事は、指導課にいたようです。担当は、「都制度調査」。文字通り調査がお仕事だったようですね。
もう一つの官房系、平成10年からいた政策報道室。こちらは今の知事本局ですから、官房系の中枢です。そこでのお仕事は、政策調整部、政策調整担当。読んで字のごとく調整業務です。同じ部には「基地対策担当課長」なんかもいまして、文字通り横田基地の夜間離発着訓練の中止を、国と調整したりしてました。「総合政策担当」とは特に政策を定めず、必要な調整業務を行う部署だったようです。政策立案の仕事は、むしろとなりの「計画部」のお仕事ですね。
要するに部長職のわりに、高橋氏本人に、政策立案経験はそれほどないことになります。その証拠に、「水道局資材置場の公園化」などという、およそ実現性の無い公約を掲げているのですね。
 
■水道局資材置場の公園化は実現するか
狛江高校の近くにある水道局資材置場の広大な土地は、戦前の段階から公園計画されていた場所です。2002年に、東京都財務局から市が買い取るか、公園化をあきらめるかの選択肢を突きつけられ、署名活動までしてこの提案を突っぱねた経緯があったりします。以来、この土地は棚上げになったままです。なにしろ広さ約2万平方メートル、公園建設費は約37億円という巨大な予算が必要になります。東京都側では、教育機関3800施設の耐震化事業など喫緊の施策が進行中であり、公園化に回せる費用はありません。都市部の避難場所として、優先度が高く設定されている「篠崎公園」ですら、計画が滞っている始末です。公園計画として全く注目されていない、狛江の公園化が進められるとは、とても思えません。
かといって、狛江市が買い取って整備するのも無理な話です。石井前市長の借金が未だに首を絞めている状況で、予算を確保するのは不可能ですし、当時の市民ピンポン玉投票でも、買取には否定的な結果が出てました。体育協会からの「野球場案」のごり押しなど、サッカー人気が盛り上がってる現在の情勢を無視した動きも、批判につながったと思います。
 
いずれにしろ、公園化は簡単に実現できるような話ではありません。最近まで都政を担った人間とは思えない、適当な公約だと思います。市内から候補を立てられない明政クラブの責任は、まことに大きいと言えるでしょう。今度の市長選では、手放しで投票できる候補者がいないのが、本当に残念です。